Intek

高品質な3Dビジョンが Siemens の船舶用バッテリー生産を加速

概要

課題

トロンハイムに新設された Siemens の船舶用バッテリー工場では、急増する需要に対応するため、高度に自動化された生産ラインが必要でした。最初のロボットセルでは、ランダムに置かれた多種多様で予測できない部品を、迅速かつミスなくデパレタイズする必要がありました。

ソリューション

システムインテグレーターの Intek は、Zivid One+ 3Dカメラを、カスタム設計の吸着グリッパーを備えた KUKA KR9 ロボットに搭載しました。1回の撮像で得られる点群から各パレットやトレイの位置を特定し、部品の寸法を測定したうえで、無人搬送車(AGV)上に正確に配置します。

成果

生産エリアの作業者はわずか3名で、年間150〜200隻のフェリー向けにバッテリーを供給できます。完全電動フェリー1隻分のバッテリーモジュールを4日未満で生産できます。

01 概要

環境規制の強化により、フェリーなどの船舶では低排出の電気推進への移行が進んでいます。Siemens はノルウェーのトロンハイムに新工場を開設し、急速に拡大する船舶用バッテリーの需要に対応しています。システムインテグレーターの Intek が設計した高度に自動化された生産ラインにおいて、Zivid の3Dマシンビジョンカメラは生産効率の最適化に重要な役割を果たしました。

ノルウェーの SIEMENS バッテリー工場
(画像はすべて SIEMENS 提供)

02 背景

先進的な環境政策の一環として、ノルウェー議会は2018年、フィヨルドを運航するフェリーやクルーズ船からの有害な排出を遅くとも2026年までに禁止することを決議しました。対象には CO2 と NOx ガスに加え、水上の騒音公害も含まれます。

これを受けて、地元の海運会社やフェリー事業者は電気推進システムの開発と導入を急速に進めています。実際、ノルウェーで初めて就航した完全電動フェリーの性能は、控えめに言っても非常に優れたものです。

世界初の完全バッテリー駆動フェリーである MF Ampere は、ラヴィークとオッペダール間を運航しており、陸上の充電ステーションでバッテリーを充電しています。ディーゼル船と比べて排出量を95%、運航コストを80%削減したとされており、世界中のフェリー事業者にとって魅力的な選択肢となっています。

漁船および船舶向けの SIEMENS バッテリー
(画像はすべて SIEMENS 提供)

比較的短い距離を航行し、同じ港の岸壁に長時間停泊するカーフェリーや旅客フェリーは、世界の海上輸送分野において、従来のディーゼルからバッテリーやディーゼル・電気ハイブリッドへの移行を始めるのに理想的な対象であることが証明されています。

この大きな変革を実現するうえで欠かせないのが、新しい完全電動およびハイブリッドのパワートレインを駆動するのに適した種類のバッテリーを、十分な量で確保できることです。

Siemens はノルウェーのトロンハイムに柔軟で高度に自動化されたバッテリー工場を開設し、将来の需要に応えるため1億ノルウェークローネを投資しました。この工場では、船舶向けおよびオフショア石油・ガス向けのエネルギー貯蔵ソリューションを開発・製造します。

新しい船舶用バッテリー生産ラインに求められる非常に高いレベルの自動化を実現し、厳しい生産性目標を達成するため、Siemens はラウフォスに拠点を置く Intek に、ロボット、3Dマシンビジョン、自動化システムのインテグレーションを委託しました。

会社概要

会社
SIEMENS
ノルウェー、トロンハイム

システムインテグレーター
Intek

アプリケーション
船舶用バッテリー工場
ピック&プレース
デパレタイズ
構内物流

特徴
マテリアルハンドリング
ロボット搭載型3Dカメラ
無人搬送車(AGV)
KUKA KR9 ロボット

3Dカメラ
Zivid One+ Medium

公開
2020年4月3日

「Zivid One カメラの高品質な3D点群を活用することで、パレットやトレイの輪郭を容易に特定し、その中の部品の外形寸法を非常に正確に把握し、最高レベルの正確度でピック&プレースを行うことができました。」

Olaf Pedersen

Intek プロジェクトマネージャー

03 課題

完全電動フェリーの場合、バッテリーパックには一般に約2 MWh のバッテリー容量が必要です。典型的な構成では34台のバッテリーキャビネットがあり、それぞれに9個のバッテリーモジュールが収納され、各モジュールは28個のバッテリーセルで構成されています。ディーゼル・電気ハイブリッドの動力システムでも、少なくとも500 kWh のバッテリー容量が必要です。

もちろんカーフェリーや旅客フェリーだけでなく、何千隻もの漁船、クルーズ船、多目的船、オフショア設備も、完全または部分的な電動化の恩恵を受けることができます。そのため、船舶用バッテリーセットとそれを支える生産能力への需要は高く、今後急激に増加すると見込まれています。

Siemens のトロンハイムにあるオフショア・船舶センターの責任者である Torstein Sole-Gärtner 氏は、次のように述べています。「ノルウェーのすべてのカーフェリーと旅客フェリーは、最終的には何らかのエネルギー貯蔵ソリューションに依存することになるでしょう。2020年までには、ハイブリッドまたは完全バッテリー駆動のフェリーが約60隻運航すると見込んでいます。」

さらに同氏はこう続けます。「私たちが新工場で開発・量産するバッテリーと電気推進製品が、世界中のあらゆる船舶分野で同様の技術進歩を後押しすることを期待しています。」

Siemens は、世界の船舶用バッテリー市場が2024年までに倍増すると予測しており、全長150 m までの新造船のほぼ80%に、完全バッテリー駆動またはディーゼル・電気ハイブリッド構成のバッテリーが搭載されると見込んでいます。

将来の需要に対応するため、トロンハイムの新しい生産ラインはできる限り効率的かつ柔軟である必要がありました。生産工程に直接関わる人員を最小限に抑え、ロボット化を最大限に進めることが求められました。

システムインテグレーター Intek のプロジェクトマネージャーである Olaf Pedersen 氏は、直面した課題について次のように説明しています。「ソリューション全体を開発するうえで、迅速かつミスのない生産スループットを維持することが極めて重要でした。部品の搬送、製品の組立、テストのいずれの工程でも、高い生産性を確保することが鍵でした。」

生産ラインのデパレタイズ工程でバッテリー部品を扱うことには、特有の課題がありました。Pedersen 氏は次のように説明します。「他のロボットセルとは異なり、最初のロボットセルでは、バッテリーセル、フレーム、コネクタなど、多種多様で予測できない部品を自動で扱う必要がありました。」

「パレット、段ボールトレイ、プラスチック製ブリスターパックなどにランダムに置かれて届く多種多様な部品を、しかも高速で扱う作業を自動化するのは難しい課題です。」

 

04 ソリューション

Siemens のトロンハイム船舶用バッテリー生産ラインには、個別に構成可能な8つのロボットセルと、セル間の物流を担う7台の無人搬送車(AGV)が導入されています。Intek が12か月かけて設計・構築したこのラインは、部品の最初のピッキングから最終的なバッテリーテストと記録まで、すべてを自動で行います。

特に重要なデパレタイズ用ロボットセルには、システムインテグレーターの Intek が、カスタム設計の吸着グリッパーを備えた KUKA KR9 ロボットアームに Zivid One リアルタイム3Dマシンビジョンカメラを搭載する構成を選びました。制御と処理には、Siemens の PLC(プログラマブルロジックコントローラ)と高速な産業用PC を使用しています。

Pedersen 氏はその理由を次のように説明します。「Zivid One カメラの高品質な3D点群を活用することで、パレットやトレイの輪郭を容易に特定し、その中の部品の外形寸法を非常に正確に把握し、最高レベルの正確度でピック&プレースを行うことができました。また、1回の撮像で済むため、非常に高速でもあります。」

「このより実践的なアプローチにより、部品の向きを揃えて所定の位置に移動させるための機械的なガイド機構やオペレーターの介入を必要とせずに、部品がランダムに配置される問題を解決できました。さらに、複雑な部品の CAD ファイルを使った手間のかかるプログラミングも不要になりました。その結果、非常に柔軟で信頼性の高いソリューションとなっています。」

Zivid One カメラを用いたマシンビジョンシステムは、確実な「ピック」だけでなく、非常に正確な「プレース」も実現します。これは、相互に連携するロボットセルの効率にとって極めて重要な性能基準です。Pedersen 氏は次のように詳しく説明します。

「ロボットアームは比較的小型の AGV に部品を自動で積み重ねるため、システムが荷重の分布を考慮することが不可欠です。AGV は搬送中に完全にバランスを保つ必要があります。さらに、AGV が搬送先のロボットセルに到着すると、別のロボットが所定の位置から部品をピッキングする必要があります。そのため、AGV 上への正確な部品配置も不可欠でした。」

ノルウェーで最も早く Zivid One 3Dカラーカメラ技術を採用した Intek は、独自に設計したソフトウェアアルゴリズムを用いてカメラの3D点群データを処理し、生産ラインのスループットを最大化しました。

 

05 成果

SIEMENS の生産ラインで稼働する Zivid 3Dカメラと Intek のロボットセル
(画像はすべて SIEMENS 提供)

Siemens の船舶用バッテリー生産ラインは高度なセル方式を採用しているため、世界的な市場需要の急増や急速な技術開発に応じて、柔軟に能力を調整し、生産能力を拡大できます。バッテリーの設計と生産も、各船舶の用途や運航パターンに合わせて容易に最適化できます。

最先端のマシンビジョン、ロボット、AGV を活用することで、トロンハイムの生産ラインは可能な限り高いレベルの自動化を実現し、生産エリアで作業する人員はわずか3名です。これにより、持続可能なエネルギーソリューションをより効率的かつ低コストで生産できます。

特に、部品のデパレタイズ用ロボットセルで Zivid の3Dマシンビジョンカメラを活用したことが、必要な高い生産スループットの確保に大きく貢献しました。カメラの高品質なカラー3D点群により、機械システムの改造や大がかりなソフトウェアの再開発を行うことなく、ロボットアームが製品の変更に対応できます。

高効率なエンドツーエンドの自動化生産ラインにより、Siemens は年間150〜200隻のフェリー向けにバッテリーを供給できる見込みで、これはバッテリーモジュール容量にして約400 MWh に相当します。この工場では、完全電動フェリー1隻に必要なバッテリーモジュールを4日未満で生産できます。

ディーゼル駆動の船舶から完全バッテリー駆動やハイブリッド駆動の船舶への移行がもたらす環境への好影響は、計り知れません。CO2 や NOx ガスの排出、水中を伝わる騒音公害の削減は、地域だけでなく世界規模で実感されるでしょう。排出ゼロでほぼ無音の海上運航は、目指す価値のある目標です。

Intek について

Intek Engineering AS は1980年に設立された二代目の家族経営企業です。30年以上にわたりロボットソリューションを提供してきた実績を持ち、ノルウェーにおける産業用ロボット化と自動化の分野で主導的な役割を担っています。

→ www.intek.no

Zivid One+ 3Dカラーカメラ