YASKAWA
Zivid の 3D ビジョンが支える YASKAWA のエージェント型 MOTOMAN NEXT
概要
課題
MOTOMAN NEXT には、反射する部品や透明な部品、密集した部品にも対応しながら、組立のような近距離作業からデパレタイジングのような長距離作業まで、実際の工場環境下でカバーできる 3D センサーが必要でした。
ソリューション
YASKAWA の「エージェント型ロボットシステム」は、MOTOMAN NEXT と AI による意思決定に Zivid 2+ R-series を組み合わせています。HDR 撮像、ネイティブな 2D + 3D 取得、近距離から長距離までの作業範囲により、ロボットのあらゆる作業で安定したピッキングを実現します。
成果
2026 年 7 月以降、本システムは Google DeepMind の「Gemini Robotics ER 1.6」上で稼働しており、オペレーターが大まかな指示を与えるだけで、ロボットが自ら状況を認識し、計画し、実行します。この取り組みは、物流、医療、建設、フードサービス、リサイクルへと広がりつつあります。
01 ストーリー
2023 年の MOTOMAN NEXT 発売以来、YASKAWA は世代を重ねるごとに一つの目標を追求してきました。労働力不足によって人手が足りない業務を、産業用ロボットが自律的にこなせるようにすることです。
そのために YASKAWA が選んだのは、ロボット、AI、そしてマシンビジョンを一つのシステムに統合するというアプローチでした。あらかじめ決められたプログラムを実行するだけでなく、周囲の状況を観察し、意味を読み取り、変化する環境に適応できるシステムです。本ケーススタディでは、この統合が実際に何を可能にしたかを紹介します。Zivid の 3D センサーを組み込んだことで、MOTOMAN NEXT は、これまで人の手と目に頼るしかなかった以下のような作業に対応できるようになりました。
-
柔軟な組立作業
-
不定形の流れで届く部品の仕分けとハンドリング
-
積み下ろし対象が変化する荷役作業
-
不規則な清掃・ハンドリング作業
-
変化する環境下での収穫・梱包作業
「反射する部品、透明な部品、黒い部品は、多くのビジョンシステムが苦手とするところです。Zivid はそのすべてで安定した性能を発揮しました。MOTOMAN NEXT が実際の生産現場で自律的に動作するために、まさに必要なものでした。」
K.Y
Robotic Engineer at YASKAWA
02 課題
一般的な産業用コントローラは実行に特化しており、認識や知覚には向いていません。これに対し MOTOMAN NEXT は、ビジョン処理、画像解析、組み込み AI、タスクプランニングのすべてをコントローラ内部で完結させる設計を採っています。この構成により YASKAWA は、視覚誘導ロボットにありがちな課題、すなわち教示点に依存した扱いにくいプログラミング、条件が変わるたびに不安定になる動作、外部 PC への依存、サードパーティ製センサーを後付けする際の統合の手間、といった問題を取り除くことができました。
ただし、これらはすべて、それに見合う性能を持つ 3D センサーがあって初めて成立します。そして、ここに多くのカメラが実力不足に陥るポイントがあります。産業用ビジョン市場は成熟しており、照明条件の良いビンに置かれた、つや消し仕上げで手のひらサイズの部品程度であれば、たいていのカメラで対応できます。しかし、現場で実際に問題を引き起こす場面、すなわち反射する金属加工部品、透明な梱包材、深いビン、密集した小さな部品、溶接時のスパッタ、変動する周囲光、温度ドリフトなどに対応できるカメラはごくわずかです。こうした条件こそがミスピックや衝突、製品破損の原因となり、どんな「ハードな自動化」プロジェクトも最終的に直面する課題です。
MOTOMAN NEXT が対応するユースケースは、求められる作業距離も多岐にわたります。組立、ロボットガイディング、検査には近距離での極めて高い正確度が求められる一方、デパレタイジングや深いビンピッキングには、画質や撮像速度を犠牲にせず、シーン全体をカバーできる長い視野が必要です。そのすべてが、実際の工場環境、すなわち温度変化、衝撃、振動、そして連続稼働にも耐えなければなりません。クリーンな実験室環境だけでは不十分です。
03 ソリューション
安川電機の AI ロボット「MOTOMAN NEXT」と Zivid カメラを組み合わせた、エージェント型ロボットシステムのデモンストレーション。(デモ動画を見る)
YASKAWA は「エージェント型ロボットシステム(Agentic Robot System)」の中核に Zivid 2+ R-series を採用し、MOTOMAN NEXT、AI による意思決定、Zivid の 3D ビジョンを一つのプラットフォームへと統合しました。このシステムでは、ロボットは詳細なプログラムの入力を待つのではなく、大まかな目標を受け取り、それを達成する方法を自ら組み立て、部品の落下や想定外の障害物といった問題が発生した際にも自律的に対応します。
Zivid センサーの 3 つの特性が、これを可能にしています。
通常であれば検出に失敗する素材でも、高品質な点群を取得できること。 光沢のある部品、透明な部品、黒色の部品は、多くの 3D カメラで欠損やノイズ、誤った形状が生じやすく、ピック&プレース作業が実際に失敗する原因となる部分です。Zivid の HDR 撮像と反射処理機能(ビンの壁やラック面でよく発生する垂直方向の反射に特化した Sage Engine)により、MOTOMAN NEXT は SKU 構成の中でも特に扱いにくい対象を、安定してピッキングし続けることができます。
1 台のデバイスで 2D と 3D を同時に取得できること。 Zivid のカメラはネイティブに 2D と 3D を取得するため、2 台目のカメラを追加設置する必要も、外部キャリブレーションを維持する必要もなく、時間の経過とともに両者がずれていく心配もありません。2D と 3D はどちらも同じ正解データとしてピッキングセルに供給されます。これは AI によるセグメンテーションにとって特に重要です。セグメンテーションには、3D の形状データと同じくらい安定した一貫性のある 2D 信号が必要であり、2 つの独立したシステムが気づかないうちにずれてしまうようでは困るからです。
作業範囲全体をカバーするカメラファミリーであること。 Zivid 2+ R-series は、1 つの製品ファミリーの中で近距離から長距離までをカバーし、物流、eコマース、製造業それぞれの用途に合わせて調整されています。MR60 は組立、ロボットガイディング、検査など近距離の作業向けに設計されており、MR130 と LR110 はピースピッキング、荷物の仕分け、ビンピッキング、デパレタイジングまで対応範囲を広げます。3 モデルすべてが固定設置とロボットアーム搭載の両方に対応しているため、インテグレーターはアプリケーションに応じて、Zivid カメラを MOTOMAN NEXT のアームに直接搭載し、別の角度から近くを見ることも可能です。この柔軟性は、MOTOMAN NEXT が想定する対応可能な作業範囲の広さと、そのまま重なり合っています。
実際の適用例
実際の生産ラインでの活用例をいくつか紹介します。
混在する原材料の開梱。 食品・化学工場では、段ボール箱やクラフト紙袋から原材料を取り出し、機械に投入する作業が日常的に発生します。問題は、同じ原材料であっても箱や袋の形状にばらつきがあり、輸送中や湿気の影響で潰れたり変形したりすることです。これは、あらかじめ決められた動作しかできない自動化が最も苦手とする状況です。MOTOMAN NEXT は Zivid カメラを使って各容器の実際の状態を読み取り、それに応じて開梱の順序を組み立てます。
双腕 AI ロボットによる梱包作業の自動化。 製品を包装材で包み、箱詰めする作業には、繊細なハンドリングと判断が求められます。製品ごとに形状やサイズがわずかに異なるためです。MOTOMAN NEXT はカメラで対象物の位置と状態をリアルタイムに確認しながら、両腕を連携させて作業を進めます。人と同じような動きができるため、工場のラインや作業台を大きく作り変えることなく、既存の環境にそのまま導入できる点も大きな利点です。
04成果
2026 年 7 月、YASKAWA は「エージェント型ロボットシステム」を Google DeepMind の身体性推論モデル「Gemini Robotics ER 1.6」と連携させたことを発表しました。この構成では、MOTOMAN NEXT に搭載されたビジョン、パスプランニング、力覚センシングが「身体」として機能し、生成 AI が「頭脳」として下した判断を実際の動作へと変換します。オペレーターは細かくプログラムを書く代わりに、「この部品を仕分けてください」といった指示を与えるだけで済むようになりますが、その判断を実際のピッキングという結果につなげるには、ロボットがシーンを正確に見えていることが前提となります。Zivid のセンサーが埋めているのは、まさにこのギャップです。
この技術が開く可能性は、製造業の枠をはるかに超えています。物流、医療、建設、フードサービス、リサイクルなど、現在人手不足に直面しているあらゆる業界が対象です。YASKAWA は今後も実用化と社会実装に向けた取り組みを加速させるとしており、具体的な適用領域と提供時期については、準備が整い次第、改めて発表するとしています。
安川電機について
YASKAWA Electric Corporation(安川電機)は 1915 年に設立された日本のテクノロジー企業で、本社は福岡県北九州市にあります。産業用ロボット、モーションコントロール、自動化ソフトウェアを専門とし、MOTOMAN シリーズや、AI ロボット MOTOMAN NEXT を展開しています。同社は高度な AI、ビジョン、モーションプランニング技術を提供し、ロボットが組立、ビンピッキング、仕分け、梱包といった複雑な作業を実行できるようにしています。YASKAWA の技術は、製造業、物流、食品、医療分野で広く活用され、自動化オペレーションの効率性、柔軟性、信頼性の向上に貢献しています。
Zivid 2+ R-series
- Zivid 2+ R-series - 工業用3Dカラーカメラ
- 点群 - 様々なオブジェクトの例
- お見積もり依頼 - ご希望のカメラについて
